わたしたちの歴史において「侍」が重宝されているように西洋世界の中世から近代(395〜1789)の歴訪を語る上で「貴族」の存在は欠かせません。

貴族はその高貴な血を持ちつつも時に常軌を逸っする悪魔じみた悪行をしばし致しました。今回の主人公・エリザベート・バートリー(1560〜1614)もその一人でございます

IMG_0365


彼女はハンガリー王国(現オーストリア)の貴族の産まれでその血筋には同国の宰相(首相、総理大臣)の従兄弟が存在しします。そこへ持ってきて叔父はポーランドの国王ですから昨今話題の上級国民より上級国民らしいですね。

一方では悪魔崇拝者や色情狂(性欲異常者)などの精神障害者を多く排出する栄光と影を生み出しやすい家系のようです。子供のときからエリザベートも気性の激しい荒れた性格だったとの文献が残されています。

優れた美貌と讃えられ、複数の言語を自在にあやつる才色兼備で、気性が激しいながらも14歳の頃にナタージュディ・フィレンツェ伯爵と結婚した。

IMG_0366



フィレンツェ伯爵は粗野で粗暴、知性を磨くより根っからの軍人気質で相性が悪いと思うかもしれませんが案外二人の仲は良好だったようです。何もかも違う夫婦の共通点が究極のサディスティックということ。この伯爵は自分の気に入らない部下に暴力を働き、戦争捕虜には非人道的な行為ばかりをしていてあだ名は「黒い騎士」でした。

​殺人件数〇〇〇人!?



エリザベートの家系は富と権威を受け継くために長年血族婚姻をくりかえし痛風・癇癪・狂気などが遺伝的に見受けられますが、彼女ほど狂気が病的に培養された人間は稀有でしょう。

彼女はある日新入りの侍女のちょっとしたミスで激情し強烈なビンタをお見舞いします。侍女は出血し、その血が少量エリザベートの右手に付着しました、それをふき取ると

「あらびっくり手がツヤツヤになってシワが薄くなったじゃない!?」


とエリザベートは異常に大喜びします(もちろん錯覚ですが)この頃になると夫とは死別し、子供を6人産んでいたので美しかった容姿にも陰りが見えはじめました。彼女は人並みならぬ若さへの妄執があったのでしょう。それによりうら若き処女の血は若返りの霊薬と妄信し、狂気の階段を一気に登っていきました。

領地内の若い女性を片っ端からチェイテ城に呼び寄せ、しばらく栄養のあるもの食べさせ肥えさせます。そしてアイアンメイデン(鉄の処女)で串刺す。

IMG_0382



アイアンメイデンから流れた血液で風呂がいっぱいになったところで入浴していたそうです。

また鉄の鳥籠という拷問の籠に娘を入れ、その内側には針が無数にあります。外から兵士に焼けた棒を突かせて、躍り狂う被害者の絶叫を愉しみながら血のシャワーを浴びました。

IMG_0383




狂気の毒牙は止まることを知らずに下級貴族の娘たちにまでおよんでいく。「レディーの嗜み」だの「礼儀作法」だの適当な理由で呼びつけては年端もいかない少女を惨殺していくのでした。

当然近隣の住人や貴族達は訝しむ。が、「高貴な血」(超上級国民)ゆえに真実が明らかになるまでどうにもならない。ハンガリー王の耳にも噂は届いていたが確たる証拠もなく同状の理由で放置されていたのである。
ある着任したばかりの牧師が虐殺の噂を聞きつけ独自の調査をはじめる。が、エリザベートからの刺客に毒を盛られそうになるも間一髪のところ難を逃れました。それからもそのような事件が頻発しこれでは真実が永遠に霧のなかになりそうに……ところがどっこい丁度その頃チェイテ城から命からがら逃げ出した少女(猛者)がいて、牧師と合流して真実が公表されたのであった。

ハンガリー王家が調査に乗り出したところ、チェイテ城地下の拷問部屋にはすざまじい腐臭と残虐行為が行われた数え切れぬ遺体がゴロゴロ横たわっていて、腐った血の川で地獄絵図だったという。また幾人かの衰弱した被害者も救出される。 のちの検査でも敷地内のあちこちで遺体が発掘され周辺地域を恐怖のどん底へ落としたのです。

1611年の裁判では被害者及び遺族が招かれ、数々の残虐行為が白日の下になった。ナイフで肌を少しづつ切り落としたり性器切断、身体の具合が悪い時は娘たちの腕・顔・乳房をむさぼり千切って人肉を味わったようだ。

このエリザベート・バートリが引き起こした凄惨なる怪事件は貴族世界のなかで大きなセンセーショナルを生んだ。また一般市民の目にも反貴族主義の種がちいさく芽吹いたのは言うまでもない。

裁判の結果、

560人の殺害及び遺体損壊でありながら


血の伯爵夫人 エリザベート・バートリーは死刑にはならなかった。高貴な血(上級国民)を受け継いでいるからだった。代わりに激烈な拷問の末に自白した使用人たちが処刑されたのである。使用人や侍女たちにも無論、責任があるのは述べるまでもない。(拷問や虐殺に手を貸したし)だけれどエリザベートの命令に逆らえば殺害されるのは自分たちですから可哀想とも伝えられていますね。

彼女は自分の「チェイテ城」の一室に幽閉され一日一食わびしい食生活のなか寂しく一生を終えました。エリザベートに反省の色無く、最後まで贖罪という唯一救いさえ感じなかったそうです。

最近では モンスト fgo にバートリーが出ていますね。こんなサイコパス出して良いのかしら…?